ショートストーリー

AT THE BALCONY 十人十色の住人が毎日さまざまなドラマとともに過ごす集合住宅。そんなマンションに住む人々とともに今日もどこかで生まれている物語の断片を紡いでいきます。Vol.11 「ミックスジュース」

年を重ねるごとに

残暑の厳しさは増しているように思う

少なくとも

子供のころはこんなにも真夏日がこんなに多くはなかった

そんな残暑の厳しいある日

友人が遊びにやってきた

手土産は田舎で採れたという山盛りのフルーツだった

パイナップルやマンゴーなどの

新鮮なトロピカルフルーツは

このうえなく甘くてジューシーだ

マンゴーやキウイは

大人になって初めて食べたもんだと思っていたが

友人がくれたトロピカルフルーツは

なぜか“懐かしい味”を感じさせた

ふと子供のころの記憶が蘇る

家族でデパートに出かけたときに

何よりも楽しみだったのは

フルーツパーラーへ行って

大好物のミックスジュースを飲むことだった

そういえば、

子供のころにはあんなに好きだったのに

大人になってからはまるで飲まなくなったな…

友人がくれたフルーツは

あのときのミックスジュースの味がしたのかもしれない

大人になって初めて食べたと思っていたフルーツは

子供のころの大好物だったのだろうか

誰にも忘れられない味があるものだ

それは、忘れていた記憶とともに蘇ることもあるんだな

自分にとっての新鮮なフルーツの甘さは

夏の暑さを忘れさせる懐かしい味となった

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