ショートストーリー

AT THE BALCONY 十人十色の住人が毎日さまざまなドラマとともに過ごす集合住宅。そんなマンションに住む人々とともに今日もどこかで生まれている物語の断片を紡いでいきます。Vol.9 「打ち上げ花火のそのあとで」

にぎやかな露店が軒を連ね

人ごみの中をかきわけて歩き

ビルとビルのわずかな隙間から

半分だけ顔を出す打ち上げ花火

打ち上げ花火の醍醐味のひとつは

より近くで見ること

その一瞬の美しさは

目に焼きついて離れないものだ

打ち上げ花火は、見る角度によって

表情がまったく違う

以前、高層階に住む友人の自宅で

初めて打ち上げ花火を真横から見た

真横から見る花火は美しいが

下から見上げる花火もまた雄大で華麗だ

今年の打ち上げ花火は

久しぶりに家族でその友人宅に招かれた

真横に見える打ち上げ花火は

やはり美しく

初めて横から花火を見た娘は大はしゃぎだ

ただ、花火が終わった後の

真っ暗な空に、煙だけがうっすらと残る

なんともいえぬ寂しさだけは

どこで見ても同じものだ

そんな中、娘が空に流れ星を見つけた

花火が終わった空を彩った流れ星は

本当に願いを叶えてくれそうだった

帰り道、娘にどんな願いを込めたのか聞いたら

“来年も流れ星が見られますように”

うちもそろそろマイホームが必要だな…

打ち上げ花火を横から見るのも悪くない

※ 7月下旬~8月下旬にかけては、ペルセウス座流星群の活動時期。 多いときには1時間に30~50個の流星が流れると言われている

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