
最近では、他人にガミガミと怒る
町のじいさんがいなくなったが
このマンションには
なにかにつけてガミガミ怒るじいさんがいる
一昔前の言葉で言うとカミナリおやじである
ゴミの分別をしないのを見つけてはガミガミ
回覧板をまわすのが遅いとガミガミ
禁煙コーナーでタバコを吸っている人にガミガミ
若い人たちはじいさんのことを煙たがって仕方がない
じいさんは酒が大好きだ
近所の飲み屋に毎日のように通っている
酒が入ると途端に陽気になるじいさんは
酒場では人気者だ
じいさんには日課がある
毎日、酒を飲んだ後に
若い衆を集めて夜回りへと出かける
ゆっくり時間をかけて町内を一周
じいさんの手には年季の入った拍子木
聞けば昔は町の消防団だったそうだ
じいさんが若かったころ
夜回り中に放火犯をみつけてとっつかまえてからというもの
それ以来、夜回りはじいさんの日課になった
真冬の寒い日も、真夏の暑い日も、じいさんは夜回りを欠かしたことがない
今日もじいさんはガミガミ怒っている
怒られている人は煙たいと思うかもしれない
だけど、じいさんが怒る理由には筋が通っていることを知っている
そして
じいさんほどこの町を愛している人はいないということも
そして
今日もじいさんは夜回りへと出かける
ゆっくりと時間をかけて
という言葉がピッタリはまる

